二十歳の原点と一触即発の
カップリング・アルバム(LP)です。

画像提供 : 伊藤 敦 さん


データ提供 : 西岡 拓也 さん

Songs

FACE : A FACE : B
一触即発 ハマベス
ピンポン玉の嘆き 空と雲
  おまつり
FACE : C FACE : D
空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ ある青春「二十歳の原点」PART2
BUEN DIA 涙の年令
ある青春「二十歳の原点」PART1 青春
二十歳の原点のテーマ 二十歳の原点テーマ
今朝は20歳
学園闘争のテーマ 四人囃子から高野悦子さん江
あなたは私  

Album Credit

THE BAND

Katsutoshi Morizono/A.Guitar,E.Guitar,Vocal,SE
Hidemi Sakashita /A.Piano,E.Piano,Organ,Mellotoron,Mini Moog,SE
Shinichi Nakamura /Bass,Pedal Bass,Backing Vocal,SE
Daiji Iwao /Drums,Air-Symbals,Tubularbells,Tambourine,SE

EXECUTIVE PRODUCED/SHINJI HINOKI
PRODUCED/四人囃子 & TUGUAKI OKAI
DIRECTED/四人囃子 & TOSHIFUMI SEI
SOUNDMIXER/YOJI OTOMO & KENICHI AKINO


Notes

<解説>

 四人囃子が、CBSソニーに移籍して制作されたアルバム 「ゴールデン・ピクニックス」の発売直後、ギタリストであり、 リード・ボーカリストであり、コンポーザーとしてユニ一クな作品を提供していた森園勝敏が、 グループを離れていった。そのダメージは、メンバーにとっても、 ファンにとっても、かなり大きいものだったに違いない。 これまでにもメンバー・チェンジは二回程あったが、 今回の森園の離脱により、ある意昧で四人囃子の転換期となったのではないだろうか?
 そう考えると、この「トリプル・ミラー」は、 単なるベスト・アルバムではない、強いて言えば“第1期四人囃子”を総括するという深い意昧を持つアルバムと言えるだろう。
 それにしても、森園がレギュラー・メンバーとして参加した最後のアルバム「ゴールデン・ピクニックス」 のサウンドが、イギリスからアメリカヘ、実に見事にチェンジしたのには、誰もが驚かされたに違いない。
 しかし、少し冷静になってみると、もうすでに音楽面に一区切をつけようとするレコードがあった事に気がつくだろう。 タム・レーベルからの最後のレコード「空飛ぶ円盤に弟が乗ったよ』がそれだ。 そのB面「ブエン・ディア」では、CTIが青くなるくらいクロスオーバーしていて、 もう方向性をアメリカに移した事が、はっきりとしていた。 それに対して、「空飛ぶ……」は、「一触即発」の延長線のサウンドであったが、 それまでに身につけたすべてをはき出そうとしていた。
 “四人囃子=一触即発”のイメージを破りたかったのだろう。 しかし、「一触即発」が、ものすこく鮮烈だっただけに、 プログレッシヴ指向のサウンドを彼等に結びつけてしまうのは仕方のない事だろう。 全体的に荒けずりだが、ハード・ロックをべ一スにした ミュージシャンの集合体らしい気どりのない音の対流の中に感じさせる宇宙空間が 「一触即発」の最大の魅力だ。このアルバムが完成したのは昭刷50年。 それよりも2年前に彼等は1枚のアルバムを作った。
 映画「20才の原点」のサウンドトラックがそれだが、彼等にとって最初のレコードが与えられたテーマ、 拘束の中での音楽制作となった訳だ。その頃、既に彼等はハード・ロック指向であったが、 その一面はこの拘束の中からもうかがえる。それは、時折見せるピンク・フロイド的な面であるが、 それこそ真に彼等の原点であろう。
 こうした四人囃子の原点を、そして暗闇の中から見つけ出したひとつの方向を、 ここでもう一度ファンに見つめ直す機会を与えてくれたのが、 この2枚組のアルバム「トリプル・ミラー」だ。今後、聴く事が出来ぬであろう “オリジナル四人囃子”の音楽を十分に楽しんでいただきたい。

放送作家 小林佳人