Stage Report by Hideya Endo

 
でぶでよろよろの太陽が沈み夕方から夜に変わる頃。そんな時間に四人囃子を野音で観られるなんて。
 「一触即発」がいとも簡単に始まった時「かなう夢もあるもんだ。」と少し笑ってしまった。

 午後2時、野音到着。取り合えず入り口に直行。
 「森園勝敏は急病のため出演しません」の張り紙が出てないのを確認後、ビールを飲みながらサウンドチェックに耳を傾ける。いきなり始まった「円盤」に同行のわがバンドメンバー2名と「今聞いちゃもったいない。」と苦笑い。外で聞くサウンドチェックに興奮するのも昔からの野音の儀式であります。

 予定の5時をかなり過ぎた頃、なんの紹介もなくメンバ―が登場。「円盤」が始まった。大二氏のイントロ、そしてお馴染みのギターリフに歓声があがる。森園氏が弾く「危機」からのフレーズ、半音下降のベース。クールな元ネタばらしがイカシテル。
 円盤は当時、何回かライヴで聞いた事があったが2番サビ前の「映画に出たことがあるのさぁ」の「さぁ」部分の歌い回し。今まで聞いた中で一番カッコよかった。録音した人は聞いてみて下さい。(細かいけどいいやね。どうせマニアばっかだもんね。)
 ついでにエンディングのリフは当時より一回多かった。

 サックスの中村哲氏が登場し、久々の「モンゴロイド」
 佐久間氏はシンセではなく生ベースでプレイ。「なすちゃ」の影に隠れた名曲です。

 そして「なすちゃ」の登場。私は後半、静かになるところでのハイハットのきざみとベースが開放E を鳴らす瞬間が好きなのですが、この日はPAのせいか残念ながらその瞬間は訪れませんでした。(ZAPPAと共演した時、佐久間氏のベースに国際劇場が震えた)

 この日のPAは、やけに中域ばかり強調されていて低域・高域があまり出てなかったが(特にボーカル)意図的なものだったのでしょうか?ちょっと残念だったです。

 あたりが暗くなりはじめた頃、まさかの「ネッシー」
 木々に囲まれた闇の中で聞く名曲は、また格別。(名曲っていう表現、囃子らしくないんだけどね。この曲聴くといつも「名曲だねぇ」って思う。全然ポピュラーにならない名曲ね。)
 サックス入りのほぼフルバージョン。実現しなかった野音「ゴールデンピクニックス発売ライヴ」20ウン年前の「ごめんね」だったと勝手に解釈しました。

 エンデイングでの森園氏のスキャットは「20才の原点」みたいだなぁなんて思っているところに「即発」。森園氏のなげやりな歌は「皆、そんなにかまえないでよ。」(一触即発っていう曲に対して)って聞こえた。

 森園氏はいままでの再結成時ではファンの事を思ってかギターソロ等、割と忠実にレコードを再現していたが、今回はちょっと違うスタンスであったように感じた。
 個人的には金子<下北のジャニス>マリ嬢(例えが古くてスミマセン。なんせ野音ですから)とのハードドライビングでのプレイ(ブルージィーな曲が多かったが、もろブルースギターというのではなく、XTCのディヴ・グレゴリーみたいな)の方が印象的でありました。
 現役のミュージシャンであるのだから今やってる自分のバンドでのプレイが光っているというのは当然であるし古くからのファンもそれが一番ウレシイと思う。しかし森園氏のプレイ最高!おそれ入りました。

 あっという間の40分。まあ再結成なので絶頂期のような演奏ではなかったけど本人達にも再現できない「四人囃子」というとんでもないバンドに出会えた事に再び感謝の夜でありました。

                     (1999.9.23 日比谷野外大音楽堂)

 

 以下同行したバンドメンバーとの帰りの車中での会話から(あまりにも個人的な意見なもんで読み流して下さい。)

 「ミツル氏の出番が少ない。フロントが脱退したにもかかわらず好きでいられたのはミツル氏の声とギターがあったからだ。くやしいから土曜日のライヴにハレソラをカバーしようぜ。」
 「他のバンドのMCで不良中年云々と言っていたけど囃子メンバーにはそんなイメージはない。でも音的には一番過激で不良だね。」
 「今日の坂下氏のプレイは今まで観たなかで最高だった。オルガンの音、フレーズ共本当にカッコよかった。キーボードプレイヤーの鏡だね。」
 「MCがなかった。森園氏に<こんばんわ 四人囃子です。>と言ってもらいたかった。」
 「再結成ライヴというのは難しいね。ファンも過剰な期待をしてしまうし。再結成で完璧だったのは<はちみつぱい>だけだね。四人囃子のあのメンツが集まるとなるとつい欲がでるね。次に何をするかが四人囃子だったから。本当はあのメンバーでの新曲が聴きたいね。」

                            おそまつさまでした おしまい